画家になりたいとは？

不思議なことですが、
「画家になりたい」と思っている人程、画家になれていない気がします。
「思考は現実化する」という考え方とそぐわないのです。

それで、一時期「思考」って何なんだろうと？真剣に調べました。

そこで目の鱗が落ちたのです。
気がついた時は、目の前が光り輝いて、お腹の底から笑いが込み上げて来ました。

「画家になりたい」と思っているうちは、
実は「画家ではない」から「画家になりたい」と考えてしまっている。
つまり「画家ではない」を実現してしまっているのです。
でも「もう私は誰が何て言っても、画家として生きている」という自覚が出来た時には、
そのことを考える必要もなくなり、何の不安も自己嫌悪もなくなっていました。

そのことを良く分析してみると、
「画家」というイメージが外にある状態では、
まだ画家として存在出来ていません。
それは画家というイメージを映す鏡になっているだけです。

ところが、画家と自分が一体になったら、
鏡の自分がスッと消えてしまうから、
自分が画家であることを忘れてしまう程、
そういうことはどうでもよくなります。

その時には、自分自身の心の奥から湧き出るような、
強い意志に従って、黙々と描いている自分があります。

その強い意志が単なる個人的な欲望ではなくて、
まわりの強い支持でもなくて、
どんな環境にあっても、どんな苦難にあっても、
どうしてもこれをしなければ死ぬことができないというような、
もの凄い強い意志を持つ人が、絵を描いて生きて行けるのではないかと思っています。

２〜３枚の絵を丁寧に描くことは誰でも一生懸命出来ます。
ところが、一生毎日描き続けるのだと決意して実行出来る人は、
あまりいません。

そういう人が画家と呼ばれる人なのではないでしょうか。

他の職業にも同じような生き方があると思います。