プロモーション会社
アート . 時事 . 気づき持続化給付金のおかげで作品集サイトを充実させたせいか、数日前、某プロモーション会社からメールが届きました。
その内容の要点は、webサイトに掲載されている新作が素晴らしいので、是非国際アートフェアに出品しませんか?というお誘いでした。
一晩考えて、お返事のメールを書きました。文末には、「このような私でよろしいのでしたら、下記携帯電話にご連絡頂いても構いません。」と書きました。
早速夕方お電話が来ました。
ご丁寧なお返事ありがとうございます。
久しぶりに聞く、明るくハキハキした、イケメンそうな若者の声に、少々心ときめきます。
メールにお電話ありがとうございます。日本のアートを海外にご紹介するお仕事、素晴らしいですね。
そうなんです。とてもやりがいのある仕事です。メールでも書きましたが、川田様の「幻想的かつスタイリッシュなお作品」に個人的にも大変心惹かれまして、ドバイ・ワールドトレードセンター開催の国際アートフェア”WORLD ART DUBAI”に、出品のご案内メールを送信させていただきました。昨年の開催の折に、川田様の『春待草』や『花望氷』の作品テイストに近い作品が売れたものですから。
作品のご感想、とても嬉しいです。私は、お返事に書きましたように、2005年頃、韓国の画廊絡みでアートフェアに何度か出品しているのですが、いろいろ事後処理が大変で、最近はあまり積極的に国際アートフェアは考えていないのです。しかし貴社さまのようなお仕事が間に入ってくれると、何かと安心ですね。今後の可能性を感じるお仕事です。
ありがとうございます。私もとてもやりがいを感じています。海外とのやりとり、輸出入の配送、展示設置、現地での販売、展示が終わってからもその後の展開を進める様々なプロの職員が、大掛かりの体制でお仕事しています。
凄いですね!ドバイでの展示販売には、どのくらいの人数で行かれるのですか?
日本から約50名で出張し、お仕事します。
現地のアルバイトさん任せというわけではないのですね。大変立派です。
国際アートフェアは、いくつもありますが、正直、ドバイはこれから開拓されるという感じで、すごく可能性があるのです。お客さんも、現地の人というよりも世界から集まって来ている富裕層が中心です。しかしあまり従来のアート界について詳しいわけではないので、知名度があまり高くなくても個人の感覚で選んでいただけるんです。今後のアート界は、権威というものがどんどんなくなって行くと感じています。
ちょっと前の香港アートフェアがそういう感じだと聞いていました。
よくご存知ですね。
昔、国際アートフェアに参加する画廊にお世話になっていましたから、2005年くらいから数年ほどは、韓国国際アートフェア、ソウルアートフェア、フランクフルトのメッセなどに出品していました。参加するだけでなくて、ドイツのアート・ケルンなども見に行ったり、その他知っている画廊もあちこち国際アートフェアに参加していた時期があって、たくさん情報が耳に入ってきました。でも、画廊が日本も国際的にもやるとなると、やはりスタッフを数名抱えなければこなせなくて、大変そうでした。貴社さまのような会社が間に必要なのでしょうね。今後の可能性をとても感じます。どういう効果を感じていらっしゃいますか?
正直なところ、アートフェアですぐ何かが起きるというわけではなくて、そこで知り合った人脈から、開催後に大きな作品のオファーがあるという感じです。ドバイには、巨大なホテルがどんどん建設されていて、あちらは壁も広いので、大きな壁に絵画が必要なんですね。そういうお仕事を事後に随時ご紹介できるようになって来ました。
それにしても、一度は国際アートフェアに参加しなくては、そういうお話の展開にならないわけですね。それとも年会費をとるとかで繋がっていくのかしら?
いえいえ、年会費などは頂いていません。ただ国際アートフェアのドバイの場合、壁の大きさで参加費が決まっていまして、2、3点の出品の50万円から、多い人では、25点で300万円ほど頂戴するコースもあります。
そういう参加費を払える人はどういう人ですか?美大の教授とかで、研究費を貰って、ちょっと海外で発表して箔をつけて来ました。みたいなケースを良く見てきましたが、そういう人かしら?
事業で成功している人とかです。
それって、副職としてアートをしている人ですね。私のように純粋に画家一筋では、とてもそういうお金はすぐには出せませんもの。ま、仮に、「ドバイ国際アートフェアに参加します」と支援者を募れば、お金が集まるのかもしれないけれど。それで、喜んでくれるのかしら?う〜ん...。
私どもも、ビジネスとしてしているものですから。どうしてもお金を出せる人に声を掛けるということになります。
そういえば、海外で見かける日本の作品って、日本ではあまり知られていないようなものがほとんどですね。それは、お金を出せる人が紹介されてしまうからなんですね。
お時間がずいぶん経ってしまいました。お腹もすいてきたことですし、今日はこの辺で....。
あなたのお仕事は、立派な内容だし、何も悪くないんですよ。でも何か変ね。ま、よく考えてみます。日本のアートを海外に紹介するお仕事、可能性がありそうだから、ぜひ頑張ってくださいね。
と、このようなやり取りがありました。冷静になって考えてみるに、お金を出せば何でも叶えられるとしたら、それって、本当に魅力的なことでしょうか?
例えば、国際アートフェアに出展している作品を見て、「この人お金持ちだから出品出来たのね。」という感想をもらうことになるわけです。
矛盾が、一つあるとすれば、そのお仕事をしていく中で、「この作品出したくないね、でもお金もらってるから仕方がない。」とか、「こういう作品を紹介したいけど、お金出せないらしいから、なんとかしたいな。」という気持ちが出てきた時に、「いやビジネスなんだから。」と割り切っていくのでしょうか。
そしてその先に、その仕事は結局「稼ぐため」にあるものであって、「スタイリッシュ」な見た目の良さで粉飾された、アートというよりもお飾りのような「幻想」に彩られて行く。
彼の言葉には、その無意識が正直に出てしまっているのでした。「川田様の『幻想的かつスタイリッシュなお作品』に個人的にも大変心惹かれまして」を繰り返し反芻。私の作品は、見る人の鏡なのです。
その何気ない言葉の裏には、「わかっているけど仕方がない、それでも前向きに少しでも自分の好きな作品でこの仕事をしていたい」というやるせない思いもあるように思えてならないのでした。
この人が本当の気持ちで働ける未来がどうしたら訪れるのでしょうか。ま、私の知ったことではありませんが。
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