ウィリアム・ブレイクと予言の詩
読書思考が無限を悪魔に変えた。
恵み深きを、むさぼる炎に変えた。
そのさまに人はおののき、夜の森に逃げてかくれた。
永遠の森は、そのとき裂けた。
そしてあまたの地の球となって、宙を巡った。
巡る宙は海となり、すべてを呑んだ。
跡に肉の壁が残った。
そこに悪魔の宮殿が建った。
有限の回転にぐるり縛られた有限の姿が立った。
そして人は天使になった。
天は巡る円となった。
神は冠をかぶり、冷徹な君主となった。
ーーーウィリアム・ブレイク「ヨーロッパーーー予言」(1749)より。
(ベイトソン著、『精神の生態学』、「本能とは何か」より)
何気なく開いた本に、胸を突き刺す言葉が書かれていることがあります。
今日も、はっ...として、ノートに書き写しました。
ウィリアム・ブレイクは、ちょっとしたオカルト的な人だったみたいです。
この詩も、何か予言めいていますね。
18~19世紀に生きたイギリスの画家であり、詩人、そして銅版画職人ウィリアム・ブレイク。
当時の本の挿絵というのは、エッチングで細密画が印刷されました。
カメラが発明と同時くらいに亡くなった人ですから、当時まだ写真図版を印刷するという時代ではなかったのですね。
ブレイクは、彩飾印刷(Illuminated Printing)という手法で、
テクストの部分と挿絵の部分とを同列に表現出来る方法を発明したそうです。
そして、自分の印刷機で自分の本を印刷した人なのです。
当時、凄いことだったでしょうね。
今でさえ、そういうことをしている作家は、そういるものではありません。
本も絵も好きな私にとっては、興味の尽きない人です。
いろいろな人が、このブレイクの言葉を引用していたり、影響を受けているので、
是非イギリスで原作を見てみたいと思っています。
印刷という言葉は、絵画の目線から、複製という範囲でのイメージでしか見ないのは、残念なことです。
本を好きな人にとっては、活字になるとか、増刷されて多くの人に普及して行くことが、
どれだけ胸躍ることかわからないのですから。
そういう価値観と絵画の1点ものという世界とは、どこまでも平行線なのでしょうか?
きっとこの概念を崩すところから、新しい芸術が生まれるに違いない、と私などは固く信じて疑いません。
そういう意味で、ブレイクの残したものに、大きなヒントがあるように思えてなりません。
常識とか、固定概念というものに囚われず、不可能を可能にする。
まったく人が想像もしていなかったような物事を実現する、というのがクリエイターの使命です。
ブレイクの素晴らしい言葉をもうひとつ。
If the doors of perception were cleansed every thing would appear to man as it is ”infinite”.
(知覚の扉が清められたなら、物事はありのままに、無限に見える)(『天国と地獄の結婚』より)
ブレイクの詩をみつけたベイトソンの『精神の生態学』は、Amazonから買い手がつきました。
もう少し手元に置いておきたかったとも思いましたが、循環することも大切なことです。
こういう時期でも、このような大著を買って読もうとする人がいるのですね。。。
私は代わりに、アメリカのAbeBooksというサイトから
”Who’s Who in Modern Japanese Prints”という本を注文しました。
日本の近代版画家をアメリカ人が紹介しているようです。
どんなことが書かれているのか、本当に楽しみです。
学生時代は、洋書なら日本橋の丸善、洋書古書なら神保町の一誠堂、
で買うものとばかり思い込んでいましたが、
今は本当に自由にサイトで洋書が手に入りやすくなりました。
私がAmazonで出している洋書も結構売れています。
洋書専門店が少なくなって来ているので、国内発送の洋書が案外手薄なのではないかと感じます。
追伸:
九州の方から、お手紙を頂きました。素晴らしい、きれいな手書きの文面、心和みました。
なかなかお返事が書けなくて、この場を借りまして、お礼申し上げます。
韓国の作家さんからも、無事ですか?というメールが届きました。
もうすっかり韓国語を忘れてしまっているので、お返事が滞っています。
カムサハムニダ!ありがとうございます!私は元気です。
昨年お世話になった水戸芸術館から、しばらく休館のお葉書が届きました。
私には、どのような状態か、推し量ることはできませんが、
どうか、この災害を乗り越えて、力強く復興されますことを、心からお祈りしております。
日本のこの状況を案じて、アメリカからもメールを頂きました。
『禅と日本文化―ZEN AND JAPANESE CULTURE』を注文して下さった人です。
アメリカのテレビでも、この災害について沢山の報道がされているそうですが、
実際のところは何もわからないけれど、日本の一刻も早い回復を祈っていますということでした。
皆さん、本当にありがとうございます。
被災されている人たちの現状は、何もわかりませんが、自分にできることを、少しずつしています。
今は、宮城や岩手などのこけしを集め調べながら、
英文で日本の東北の『こけし』の文化を紹介するサイトをつくりはじめています。
また追って、ご紹介出来ればと思っています。
東北の伝統文化が、この災害で絶えることがないよう、ただただ祈る毎日です。
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